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──音楽ファンが増えた/減った、質が変わったといった点に関してはどう思いますか?
YOSHIKI:うーん、二分化したのかな。やっぱりレーベルもビジネスだと思うので利益が出るアーティストは集中的に売りますよね。だから売れているアーティストはすごく売れている。その反面ネットの普及によってリスナーのチョイスは増え細分化しましたよね。でも細分化したことがいい音楽につながっているかどうかは分からない。誰でも配信できる時代なので。混沌としていますから、この先何が起こってもおかしくないんじゃないかな、と思っています。逆に、こういうのってチャンスなのかなとも思います。経験上、ダメなときって色んな意味でチャンスじゃないですか。
──でもね、音楽の購入動機が世界規模で薄れてきている現実の中、変な話ですが、出る出ると言ってなかなか出ないX JAPANのニュー・アルバムも、本当にALBUMという形でリリースする意味があるのか?という話になりませんか?
YOSHIKI:いやー、結局リリースすることにしていますけど、みんなシングル単位で曲を買うし、アルバム単位で買うのって今どきは珍しいですよね。アルバムを出す意味っていうのは日に日に薄れてきていると思います。でもまあ、僕らの場合、なんかね、タイミングって来るんですよ。逆にね、出していないのには理由がある。仮に5年前にアルバムが出ていたとしても、それで何かが変わっていたかと思うと、そうは思えない。「今だからこそ、出す意味がある」というタイミングがあるんですよ。
──運命というか…鼻が利くの?
YOSHIKI:僕はやっぱり野生なんです。1万メートル先でも血の匂いを感じるんです。噛み付くタイミングが分かるわけです。最初に東京ドームのライブを演る時だって、ソニーとかまわりの全員から大反対されたんですよ。メンバーもマジ?みたいな。
──無謀だと?
YOSHIKI:そう。最初に音楽番組に出たときもレコード会社から反対されたんですよ。いま出ちゃいけないって。いきなりこんなロックバンドが出てしまうとイロモノになってしまうとか言ってね。そう言われれば言われるほど確信が強くなったけど。
──野生の勘ですね。2015年はどんなスケジュールになりますか?
YOSHIKI:世界ツアーを開始します。で、何かしらの曲の発表があります。アルバムは、年をまたぐかまたがないか…。
──アルバムは完成したんですね。
YOSHIKI:一度完成したんですけど、またぶっ壊しちゃった(笑)。
──は?
YOSHIKI:いい曲ができちゃったんで。もともとは新曲と旧曲と半々だったんですけど、どんどん新曲の割合が増えていって、これでいいなとなった時に、いっそ全曲新曲でいこうかってなっちゃって。
──いい話ですけれど…
YOSHIKI:先週もメンバーとレコーディングしていました。作っては壊し作っては壊ししていたんですけど。でももう今回はこれ以上は壊れないんじゃないかと思っていますよ。ただね、今のこの時代に「アルバムを出す」…つまり、何かを巻き起こそうとしているというのは、相当強力なアルバムじゃないといけない。今までの延長線上のアルバムでいいのか?と。X JAPANの何作目とかいうものじゃなくて、昔作った『BLUE BLOOD』とか『Jealousy』くらいのインパクトがないとねダメだよね。僕は「これでまた時代が変わるんだ」くらいのものを作っているつもりなんで。
──この時代ですから、そうじゃないとアルバムとして出す意味が本当にないかも知れません。
YOSHIKI:なんでシングルじゃなくてアルバムなんだということが分かるような作品じゃないとね。じゃないとシングル曲の寄せ集めみたいになっちゃうんですよ。だから今、アルバムにどうしても必要だと思って作っている曲は10分を超えている曲になっています。アルバムに関する発表について、近々記者会見を行います。
──新作の発表とともに世界ツアーの開催も嬉しいニュースでしたが、ひとつ心配なのは身体なんですが。
YOSHIKI:まあそうですね、TOSHIもSUGIZOもPATAもHEATHも20年前とはみんな違うんで、僕だけじゃないんですけど…ダメになる時はダメになるんじゃないですか?ただ、靭帯って再生能力がないんです。切れたら切れっぱなし。もう半分くらい切れちゃっているみたいで。世界ツアーが仮に18ヶ月とすると、持ちこたえればその後に手術をしたいんですけど。
──それだけ痛めてしまった原因は、ドラムですか?ピアノですか?
YOSHIKI:コンビネーションです。要するに両方の動きをする人ってあまりいないじゃないですか。基本的に左手のほうが悪かったんですけど、左手をカバーしようとして右手を酷使していたことで右手が更に悪くなっちゃった。もうブロック注射もこれ以上打てないと言われていますし。
──ファンはほんとうに心配しているので「大丈夫だよ心配ないよ」と言って欲しいんですが。
YOSHIKI:いや、心配してください、もっと。いつ最期になるかわからないんで(笑)。
──え?「大丈夫です!」って言ってくれないんですか?
YOSHIKI:保険も効かないんで(笑)。でもね、やる気だけはありますよ。去年だって大半はクラシックツアーでしたけど、自分にとってはあの経験も大きかったんです。ロックドラマーがピアノで世界10ヵ国を回るというのは自分にとっても画期的で、すごく自信がついたんです。ピアニストとしての自信を初めて感じた。
──初めて?
YOSHIKI:やっぱりね、いつもピアノというのは自分の中ではおまけだったんですよね。それが完全にピアノ&ドラムのYOSHIKIになったんだなと思った。ドラムの激しさ以外で表現することがすごく良かったし、この歳でこんなに成長できるんだなとも思えた。自分の中では大事件だったんです。あとはやっぱりマディソン・スクエア・ガーデンかな。いろんな国をいっぱい回ってたくさんの経験をしましたけど、2014年のこの2つの経験は自分の中では並外れたものでね、そこまでして次どこに行くのか、なんです。そこに関してはアメリカのエージェントと大モメしたんですけど(笑)、結局、僕の意思を尊重してくれたので、大きなことを近いうちに打ち上げますよ。
──それは楽しみ…ですが、身体が。
YOSHIKI:おもいっきり楽しみにして、同じくらい不安に思ってもらえれば、バランス的にちょうどいいんじゃないかな(笑)。
──運命共同体として?
YOSHIKI:ええ(笑)。ファンの人にはいろんな思い…悲しませてしまったこともあったと思うんですけど、基本的に僕たちはポジティブなんで。何かを成し遂げる時って、尋常な努力では成し遂げられないじゃないですか。そういう破壊的な僕らをファンの人達が支えてくれているというのが更に大きなエネルギーになっているので、ここまで来たらね、もう行くとこまで行っちゃいましょうよ。
──そうか。いまさら綺麗事はなしか。
YOSHIKI:いまさら「大丈夫だ」なんて言えない。頑張りますよ。見ていて下さい。
取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也
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